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運動はなぜ体にいいのか?科学的に解説

最近では「運動は体に良い」というのが普通になっています。今ではこれを否定する人は、ほとんどいないのではないでしょうか。


私が学生の時、「運動は体に悪い」といった本が話題になったこともあるんです。しかし、今では数多くの研究によって、適度な運動が健康にとって欠かせないものであることが証明されています。

 

では、なぜ運動が体に良いのでしょうか?

今回は、健康科学の観点から解説していきます。

 

 

1. 体を動かすと体内で良い物質が作られる

運動というのはまず「エネルギー消費活動」です。エネルギーを使う活動をすると身体にとって良い物質を増やして、悪い物質を除去してくれます。近年、運動により脂肪細胞からアディポサイトカインという生理活性物質が分泌され、体に良い影響を与えてくれるものあります。逆に運動不足により悪い物質が増えさまざまな悪影響を及ぼすことが分かっています。

 

 

適度に体を動かすと、アディポネクチンという体にとって良い物質が脂肪細胞から分泌されます(上図)

脂肪細胞は大きな内分泌器官であるとも考えられ、適正な脂肪量であればアディポネクチンは正常な機能を発揮します。例えば、インスリンの効きを良くして糖を筋肉に取り込む能力(これをインスリン感受性と言います)をアップさせたり、血管の保護作用があります。

 

ところが運動不足が続き肥満してくると、TNF-αだとかIL-6等の悪い物質が脂肪細胞から分泌されます。これらはアディポネクチンとは逆の作用があり、インスリンの効きを悪くしたり、炎症を促進します。

 

運動は糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病の予防になり、ダイエットが上手くいけば身軽になるので動きやすくなります。運動をすると体力が上がるというのは間違いないのですが、実際にミクロのレベルでこのような病気を予防するポジティブなことが起こっています。

 

 

2. 「運動は体に良い」を実際の研究結果から見る

運動をすることで「血圧や血糖値が下がる」という研究は多数あります。たくさん紹介するのは難しいので、私が学生時代に最もインパクトを受けた研究を紹介します。

 

それはアメリカの疫学研究者Blair(ブレア)の研究です。

 

 

緩やかでも良いので体を動かす

彼らは13,344人を前向きに約8年間追跡調査しました。そして次のようにグループ分けしました。

 

「運動をしていない人」

「散歩程度の人」

「よく運動をしている人」

といった具合です。

 

死亡数を調査したところ、循環器系疾患とがんによる死亡者数は体力差で顕著になることを報告しました。

 

上の図を見てください。

運動をしている人の方が(オレンジ循環器病やがんによる死亡は有意に低いという結果でした。

興味深いのは散歩程度でも、よく運動をしている人と大差がないです。

これは楽な運動でも、やっているのと全くやっていないのでは大きな差が出ることを意味しています。

 

学生当時、このデータを見たと時は感動しました。

「運動はがんにも有効なのか!」と。

特に有酸素運動はHDLコレステロール(善玉)を増やして、LDLコレステロール(悪玉)を除去することが知られています。そういったことや上に示したようなアディポネクチンの増加に伴い、血管が丈夫になり循環器系疾患の予防がうまくいったのではないかと思います。

 

 

他に筋トレに関しては門間先生の研究が最近では有名です。

門間先生らは「筋力トレーニングと総死亡、および疾病発症リスクとの関係」をまとめています。詳細は次のブログで書くとして、この研究では膨大な研究論文を集めて、統計解析して結論を出すという手法を使っています。メタ解析と言います。私たち運動指導者の間では超有名です。これは結構面白いのでまた紹介しますね。

 

 

3. どれくらい運動すればいいの? 〜メタボ改善の観点から〜

「運動が大事なのは分かったけど、具体的にどれくらいすればいいの?」と思った方もいるでしょう。

METsという運動強度の単位を知ることで、メタボ改善の理解が深まります。椅子に座って何もしていない安静状態の強度を1METsと言います。立ち上がって家での労働をする程度だと運動強度2METs〜。普通の速度(時速4km)で歩くと3METsの運動強度になります。この運動強度と時間の積を「METs・時」と表し、運動量の単位になります。まるで縦(運動強度)×横(時間)の長方形の面積の求め方と同じです。

 

3METsの歩行を1時間続けたら3METs・時です。このように1週間の運動量を合計23METs・時以上を目標にしようというのがあります。つまり、この3METsのウォーキングを毎日1時間行えば1週間でおおよそ23METs・時になります(正確には21METs・時です)

METs・時の話は面白いので、それだけを取り上げて後日ブログに書きますね。

 

もっと分かりやすく歩数で言うならば、だいたいみなさん1分間歩くと100〜120歩ほどなので1時間で6000〜7200歩になります。普段の家事や労働などが2000歩ほどなので、合計して8000〜9200歩稼げばノルマ達成ということになります。

 

  ただし、運動強度3METsはちょっと低いのでお勧めではないです。なぜなら、先ほどのBlair先生の研究でもあるように「よく運動をしている人」の方が循環器系疾患やがんの予防になっているのですから。実はこの「よく運動している」人たちは高い体力の持ち主です。体力と病気の発症というのは関連がありますので、またこちらも科学的にブログで解説していきます。

 

 

編集後記

ブログを書くのにちょっと時間が掛かってしまいました。大学の講義で使っているパワポの資料を使ってブログを書ければ一石二鳥だと思った次第です。ただそのまま使うのは良くないので少々改変してブログで紹介しています^^。

あとブログを書いてるとあれを書きたい、これを書きたいってドンドン考えが出てくるんです。

結局、今回のブログでもネタとなりそうなことが3つも出てきました(上の赤文字)。

小出しで書いていこうと思います!!

 

あと、最近はCanvaがあるので、パワポの資料作りも楽ですね。

Canva最高!

 

 

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